事業資金調達の6つの方法とそれぞれのメリット・デメリット
事業を営む上で、資金調達は避けて通れない重要な経営課題です。資金調達方法にはそれぞれ特徴があり、事業の状況や必要な資金の性質に応じて最適な方法を選択することが大切です。ここでは、代表的な6つの資金調達方法について、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
銀行からの融資
銀行融資は、最も一般的な資金調達方法の一つです。都市銀行や地方銀行、信用金庫などの金融機関から事業資金を借り入れる制度で、大きな金額を調達できることが特徴です。
融資の種類には、銀行が直接融資を行うプロパー融資と、信用保証協会が連帯保証人となる保証付き融資があります。プロパー融資は金利が低い反面、審査が厳しく高い信用力が求められます。一方で、審査に1ヶ月以上かかることもあり、原則として保証や担保が必要となる点がデメリットです。
不動産担保ローン
不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りる方法です。無担保ローンと比較して金利が低く、担保不動産の評価額に応じて1億円以上の高額な借入も可能です。また、最長35年など長期の返済期間を設定できるため、月々の返済負担を軽減できます。
ただし、不動産の調査や評価に時間がかかるため、融資実行まで数週間から1ヶ月以上必要です。また、返済不能になった場合は担保不動産を失うリスクがある点に注意が必要です。
ビジネスローン
ビジネスローンは、法人や個人事業主向けの事業資金専用ローンです。銀行だけでなく、信販会社や消費者金融なども提供しています。多くの商品が担保や保証人を不要としており、審査から融資まで最短即日、遅くとも数日から10日程度とスピーディーな資金調達が可能です。
一方で、公的融資や銀行融資と比較すると金利が高め(年2.00~18.00%)で、融資額も50万円~1,000万円程度と比較的少額になる傾向があります。
公的融資
公的融資は、日本政策金融公庫や地方自治体などの公的機関が提供する融資制度です。創業支援や事業支援を目的としているため、民間融資より低金利で、中には無利子のプランもあります。創業時や事業実績が少ない段階でも利用しやすく、一部の制度では無担保・無保証人での借入も可能です。
デメリットとしては、審査が慎重に行われるため融資まで1~3ヶ月程度かかることが多く、必要書類も多い点が挙げられます。
ファクタリング
ファクタリングは、売掛金をファクタリング会社に売却して現金化する方法です。最短即日での資金調達が可能で、融資ではないため信用情報に影響しません。また、多くの契約では償還請求権がないため、売掛先が倒産しても返還義務が生じません。赤字企業や税金滞納があっても、売掛先の信用力次第で利用できる可能性があります。
ただし、手数料が発生し(2者間:8~18%、3者間:2~9%が相場)、調達額は売掛金の範囲内に限られます。
手形割引
手形割引は、受け取った手形を銀行や手形割引業者に売却し、割引料を差し引いた金額を現金として受け取る方法です。手形の支払期日を待たずに現金化でき、手形振出人の信用力が重視されるため、自社の業績が振るわなくても利用できる可能性があります。
デメリットは、割引料の負担が発生することと、手形が不渡りになった場合は弁済義務が生じる点です。また、手形金額を分割して現金化することは原則できません。
資金調達方法を選択する際は、必要な資金の額や調達スピード、金利負担、自社の信用力などを総合的に検討し、最適な方法を選ぶことが重要です。複数の方法を組み合わせることで、より効果的な資金調達を実現することも可能です。
